アスカブックのオンデマウントは、見開きのセンター部分に切れ目がない印刷と、完全なフラットになる製本技術が特徴の商品です。そのオンデマウントの特徴を活かせば、新生児から2歳前くらいまでの赤ちゃんの姿を“等身大”のフォトアルバムとして残せます。赤ちゃんの時期にしか残せない等身大の姿は、きっと家族の思い出の一枚になるはずです。
最初は、「等身大フォトを撮りたい!」と思っていなかったんです(笑)ニューボーンフォト(生まれたての赤ちゃんの撮影)で作る等身大パネルは以前から取り入れていたのですが、それより大きい赤ちゃん撮影で作る「等身大フォト」には、実はあまり興味がなかったんです(笑)。
「等身大フォト」という商品があるのは知っていましたが、「そんな商品があるんだなぁ」という程度で。「等身大フォトを撮りたい!」と思うことや、自身の商品として取り入れる気持ちは特にありませんでした。
それは私に子どもがいないということもあるかもしれないのですが、身近なところで子どもがどんどん成長していく段階を見る機会がないから、「等身大の姿のアルバムを作る」ということにあまりこだわりがなかったのだと思います。
6ヶ月〜1歳くらいの赤ちゃんは表情や動きがどんどん出てくる時期なので、私自身としては、わずか3面のアルバムにドーンと写真を載せる等身大フォトよりも、10ページや20ページのアルバムにできるだけたくさんの写真を詰め込んであげたい、という思いの方が当時はとても強かったんです。
軽い気持ちではじめたら、どんどん楽しくなっていった
等身大フォトを撮るきっかけになったのは、『コドモノ!写真部』とアスカブックさんのコラボ企画です。それまで等身大アルバムを作る前提で小さいお子さんを撮ったことはありませんでしたが、コラボのお話をいただいて「面白そう!やるやる!」と思って(笑)。はじめはそんな軽い気持ちでお受けしました。
ニューボーンフォトの赤ちゃんだと、まだまだ表情や動きも少なくポージングやバリエーションがどうしても限られてしまうのですが、6ヶ月〜1歳前後になると表情や動きのバリエーションがぐっと増えて、選ぶ写真によって全然違う雰囲気の作品が出来上がるんですよね。
等身大フォトを作る際には、自分なりのテンプレートのようなものをいくつか準備してあるのですが、ねんねの姿からお座り・つかまり立ち、しっかりと自分の足で立ってる姿も撮れるし、縦位置にも横位置にも仕上げることができるからデザイン性も高い。撮れた写真に合わせて、デザインを大きく変えてみたくなったりするなど、考える楽しみもとても増えました。
そうして1冊1冊作っていくごとに、どんどん楽しくなっていっちゃって(笑)たくさんのバリエーションの等身大フォトが出来上がっていくうちに、『等身大フォトアワード』に応募しようという気持ちも自然に湧いてきました。
等身大フォトを取り入れたことで、今までやったことがない新しいことに取り組むきっかけになったり、自分の可能性を広げることにも繋がっていると思います。
等身大フォトの撮影をされるママさんたちはみなさん、お子さんが成長するにつれて「さみしい」とおっしゃるんですね。成長していく姿が嬉しくもあるけれど、赤ちゃん独特のムチムチ・プニプニ感、赤ちゃんが自ら動けるようになって自分から手が離れていくことを実感して寂しさを感じるそう。
私のお客様は、結婚式から出産、ニューボーン……などの節目節目に関わらせてもらっている方が多いのですが、ママさんたちのこのような声を聞いているうちに、赤ちゃんから“子ども”になるこの時期の姿を残すことは、すっごく意味があるんだと思うようになりました。
等身大フォトに限らず、お子さんの撮影は「子どものために残しておきたい」「成長を見ることができるから」という理由がほとんどなのですが、私としてはママさん自身の「自分が産んだしるし」として、「一生懸命育てた証」として、お子さんの姿をアルバムに残して欲しいと思っています。
とくに等身大アルバムに関しては、小さかった頃の我が子が目の前に戻ってきた感覚になるとお客さまから聞きます。思春期や反抗期などお子さんとのコミュニケーションが全く取れない時期が来てしまったときには、“幸せに満ちた子育て時期”を振り返って、乗り越えるためのツールに使ってほしい。もっともっと大きくなって親もとを巣立っていくときには、あえてお子さんには渡さずパパとママの永遠の宝物として手元に残しておいてほしいですね。
慣れれば、とても扱いやすい商品
撮影ではなるべく被写体と距離をとり、できるだけ望遠で、ファインダーのなかに被写体を大きく入れて撮ること。あまり上からや下から煽りすぎたりせず、おへそあたりを中心に身体の真ん中にレンズが来るようにして撮ることを心がけています。等身大フォトは仕上がり幅が狭いので、腕をなるべく広げないようにしたり、広がってないカットを採用したりして指先までちゃんと入るようにレイアウトを行います。
写真は3Dじゃなく2D、つまり「平面」なので、実寸に忠実に作っても見た目の印象に誤差が出ます。出来上がった等身大フォトと目の前の赤ちゃんを比較すると、陰影の問題などから実際よりも大きく見えてしまうことが多いようなので、まずは顔の大きさに実寸を合わせるようにしています。編集作業では、アルバムサイズに合わせたモニター上の赤ちゃんの目と目の間を定規で測りながら微調整を行います。
通常のアルバムではまずやらない拡大率で仕上げるため、画質の粗さを軽減する方法など、慣れるまでは試行錯誤の日々でしたが、次第に自分なりの方法で段取りを組めるようになりました。作業時間もある程度読めるようになり、一般的なアルバムに比べて扱いやすい商品だと思います。
等身大フォトが、もっとたくさんの人に広まってほしい
等身大フォトを導入するにあたって、これまでのお客様を中心に「今まで撮った写真を使って等身大フォトを作りませんか」という特別価格でのキャンペーンを行ったところ、とても反響がありました。キャンペーン終了後、通常価格になっても等身大フォトの依頼は増えたので、キャンペーンだから……というわけではなく、等身大フォト自体が魅力を感じてもらいやすい商品なんだと感じました。
私のところでは、等身大フォトは1歳までと決めているので、「今この限られた期間にしか作れない本当に貴重なものです」ということもお伝えしています。
まだまだ等身大フォトをご存じない方も多いので、いろんな方法で等身大フォトが広まって、たくさんのお客様に等身大フォトのことを知っていただきたいと思っています。
私たちカメラマンが等身大フォトを勧めるとサービスの営業になってしまうので(笑)、実際に等身大フォトを撮影されたママたちの声が広がって、たくさんのパパ・ママに、今しか撮れない我が子の姿をおさめた「宝物」を作ってほしいと思っています。
1969年生まれ、富山県出身。東京都八王子市在住。
カメラとは無縁の四半世紀を過ごし、たまたま衝動買いした一眼レフの魅力にとりつかれたことがきっかけで会社員からブライダルスナップの世界に。
1999年ホームページ「kyue photo works」を開設。
新郎新婦からの直接受注を本格化しこれまでに1500組以上のカップルを撮影。
数年前より、撮影した新郎新婦からの家族写真依頼が多くなり、自然な流れでファミリーフォトのボリュームが大きくなり、現在に至ります。
何気ない家族の記録にも、どこかブライダルフォトのような非日常な空気感とドラマティックなエッセンスを加えた「いつもの自分たちじゃないみたい」な1枚を残してあげたいなと日々感じながら撮影しています。